ティタン神族とは、ギリシャ神話でオリンポス神族より前に世界を治めていた『旧世代の神々』の総称です。
天空神ウラノスと大地母神ガイアの子どもたちで、中心人物は王である末子のクロノス。
彼が父ウラノスを失脚させて王となり、ティタン神族の時代が始まります。
しかし「子に王座を奪われる」という予言が悲劇を呼び、のちにゼウス率いるオリンポス神族との神々の戦争へつながっていきました。

ティタン神族の最高神である農耕の神クロノスを描いたオリジナルイラスト。象徴のアダマスの鎌を持たせ、黄金時代の王でもあるので、金の鎧や冠をキャラデザに入れてみました。
ティタン十二神の一覧表
ティタン神族の始祖は、オリンポス12神と同じく十二柱の神々でした。
ティタン12神にはどんな神々がいるか、名前と役割を羅列してみます。
| 名前 | 神格(何の神か) |
| オケアノス | 大洋の神 |
| テテュス | 淡水の女神 |
| ヒュペリオン | 太陽の神 |
| テイア | 輝きの女神 |
| コイオス | 知恵の神 |
| ボイペ | 光明の女神 |
| イアぺトス | 不明 |
| ムネモシュネ | 記憶の女神 |
| クレイオス | 不明 |
| テミス | 法の女神 |
| クロノス | 農耕の神 |
| レア | 大地の女神 |
ティタン十二神それぞれの特徴
ティタン十二神は、基本的に個別のエピソード話がなく、情報が少ないです。なのでかなり簡易的な説明です。
オケアノス
大洋の神で、ティタン十二神の長兄。
妻は姉妹である女神テテュス。
テテュスとの間に、3000柱の河神と、3000柱の水の女神(オケアニデス)が生まれた。
オケアノスは大地の周りを取り巻く巨大な河であり、半ば地理的な人格神ともいえる。
ティタノマキアにおいて、ゼウス達に中立または好意的だったため、妻テテュスと共にタルタロスへの幽閉を免れた。
テテュス
淡水の女神。夫は兄であるオケアノス。
妹のレアに頼まれて、レアの子供である女神ヘラを育てた養母とも。
ティタノマキアにおいて、オケアノスとテテュスは、戦いにおいて中立またはゼウス達に好意的だったと解釈されるよう。
ヒュペリオン
太陽の神。後に太陽神となるヘリオスの父でもある。
妻は姉妹である女神テイア。
テイア
輝きの女神。夫は兄弟であるヒュペリオン。
子供は太陽の神ヘリオス、月の女神セレネ、曙の女神エオス。
コイオス
知恵の神。妻は姉妹であるボイペ。
アポロンとアルテミスの母方の祖父でもある。
ボイペ
光明の女神。夫は兄弟であるコイオス。
アポロンとアルテミスの母方の祖母でもある。
アポロンが光明の神になったのは、ボイペが祖母だからなんでしょうか?
イアぺトス
明確な神格は不明。
妻はオケアノスとテテュスの娘であるクリュメネ。※諸説あり
子供にアトラスやプロメテウスなどがいる。
ムネモシュネ
記憶の女神。
ゼウスと九夜の間、関係を持ち、ムーサという九柱の詩の女神が生まれた。
クレイオス
明確な神格は不明。
妻は、海神ポントスと地の女神ガイアの娘であるエウリュビア。
子供は曙の女神エオスの夫神アストライオスなど。
テミス
法や掟の女神。ゼウスの二番目の妻。
子供は運命の女神モイライの三女神(クロト、ラケシス、アトロポス)など。
アポロンの前に、デルポイの神殿で神託をしていた。
ティタノマキアの後、ティタン神族は地位が落ちてしまうが、彼女は地位を保たれていた。
クロノス
農耕の神。ティタン十二神で一番末っ子。
妻は姉妹であるレア。
父ウラノスを失脚させ、2番目の王となった。
ゼウスやポセイドンなど最初のオリンポス神族たちの父親。だが「子に支配を奪われる」予言を恐れてゼウス以外の子供達を飲み込んでしまい、後に彼らにより失脚する。
レア
大地の女神。夫は兄弟であるクロノス。
ゼウスやポセイドンなど最初のオリンポス神族たちの母親。
夫のクロノスが、予言を恐れて子供たちを飲み込んだ際、末子のゼウスのみ計略により免れさせた。
そのことが仇になり、ティタン神族は支配権を奪われて幽閉されることになってしまう。
ティタン十二神の子供たちの系譜一覧
ティタン十二神の子供を紹介 プロメテウスや太陽神ヘリオスなど
ティタン十二神の子供には、人類に火を与えた神プロメテウスなど、重要な神々もいます。
オリンポス神族に支配権が移り、ティタン神族は地位が落ちてしまいますが、ティタン神族の子孫はその後も共存し続けました。
| 夫婦神 | 子供 |
| オケアノスとテテュス | ・3千の河神 ・3千の水の女神(オケアニデス)…ステュクス、知恵の女神メティス、エウリュノメなど |
| ヒュペリオンとテイア | ・太陽神ヘリオス ・月の女神セレネ ・曙の女神エオス |
| コイオスとボイペ | ・アステリア ・女神レト(アポロンとアルテミスの母) |
| イアぺトスとクリュメネ | ・アトラス ・プロメテウス ・エピメテウス |
| クレイオスとエウリュビア | ・アストライオス ・パラス ・女神ぺルセイス |
| ゼウスとムネモシュネ | ・詩の女神ムーサ(カリオペ、クレイオ、ウラニア、メルポメネ、タリア、テルプシコレ、エラト、エウテルペ、ポリュムニア) |
| ゼウスとテミス | ・季節の三女神ホライ(エウノミア、ディケ、エイレネ) ・運命の三女神モイライ(クロト、ラケシス、アトロポス) ・女神アストライア(ディケと同一視されることも) |
| クロノスとレア | ・ハデス ・ポセイドン ・ゼウス ・女神ヘスティア ・女神デメテル ・女神ヘラ |
ティタン神族の歴史をダイジェストでご紹介
ティタン神族の歴史についても、解説します。
ティタン神族の歴史は、ギリシャ神話における『旧世代の支配』から始まります。
原初神や、ティタンより先に生まれた神々についてはこちらで解説しています。
天空神ウラノスと大地母神ガイアの子として生まれたティタン十二神たちは、末子クロノスが父ウラノスを失脚させたことで王権を握り、世界を治める存在となりました。
このことをけしかけたのは、母ガイアです。ウラノスが子供の怪物たちをタルタロスに幽閉したことに腹を立てたガイアが、子供たちを使い復讐するためでした。
クロノスは、ウラノスの大事な部分を『アダマスの鎌』で切除し、去勢して失脚させてます。ひえー(怖)
ところがクロノスは「子に王座を奪われる」という予言を恐れ、オリンポス神族となる自分の子どもたちを次々と飲み込みます。
残った末子ゼウスが成長して兄弟姉妹を救い出し、ティタン神族に戦いを挑んだのがティタノマキア(神々の戦争)です。
最終的にゼウス側オリンポス神族が勝利し、多くのティタンはタルタロスへ封じられ、ここにティタン神族の時代は終わりを迎えました。
★ギリシャ神話全体の概要はこちらで解説しています。
まとめ ここだけは覚えておくといいポイント
ティタン十二神について解説しました。
おおまかにここだけは押さえておこう!というポイントは。
・ティタン十二神とは、オリンポス十二神の前の世代の神々。
最初の王であるウラノスと、母ガイアの子供たちで、6柱の男神と6柱の女神がいる。全員が兄弟姉妹。中心の神は末子のクロノス。
・母ガイアの策略により、クロノスが王だったウラノスを失脚させ、ティタン十二神の時代になった。
・クロノスが予言を恐れ、子供たちを飲み込んだことが仇となり、ゼウス達オリンポス神族が反逆。
戦争「ティタノマキア」が勃発した。ティタンたちは敗北し、タルタロスに幽閉され彼らの時代は幕を閉じた。
参考文献
神統記 ヘシオドス 廣川洋一訳 (岩波文庫)
変身物語 オウイディウス 中村善也訳 (岩波文庫)
ギリシア・ローマ神話辞典 高津春繁著 (岩波書店)
一冊でまるごとわかるギリシア神話 吉田敦彦著 (だいわ文庫)
古代ギリシャのリアル 藤村シシン著 (実業之日本社)
神々を知ればもっと面白いギリシア神話の教科書 東ゆみこ著 (ナツメ社)



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